大和証券杯最強戦、渡辺優勝


先ほど帰ってきて棋譜を見ました。
なかなか好勝負だった模様。

渡辺明竜王は、勝ったその日のうちに解説付きでブログにアップしていてファンサービス優先を維持し続けるのには頭が下がります。

最近の振り飛車の序盤は角交換をさけないので展開が激しくなりがちです。居飛車穴熊が強力すぎるので仕方ないのですかね。▲7七角△同角成▲同桂となったのでどんなおもしろい戦型になるかとおもいきや、渡辺が穴熊に入り、鈴木は立石流に構えてしまい、むしろ普通の戦型になってしまった。こう簡単に立石流にくめるなら楽なもんだと思う。


ここから△9二香▲4六歩△9三香はありがたいですね。とは言うものの、こういう手を平然と指せる渡辺竜王にそらおそろしさを感じます。1手で上がれるところを2手かけて上がる。しかも上がらなくても香を取られる心配があまりないのに。振り飛車で飛車側の香を▲9八香▲9七香と上がる待ち方がありますが、あれは振り飛車が基本的に待ちの戦法であるから違和感がないのであって、この将棋では居飛車でそれをやっているのがおもしろい。新しい時代が来たのだなと感じる。

ここで優勢だった鈴木大介八段に見落としが出て、形勢は振り出しにもどる。そこからが見応えのある応酬が続く。時間が短いせいで手を消し合うような渋い手よりはわかりやすいところに手が伸びることが多く、見ている方はおもしろい。

64手目△4八歩から△4七歩という美濃崩しの手筋の歩や、99手目▲2八金と先受けした手、109手目▲6六角と再び引いた手を参考にしたい。


結局敗着は113手目▲3三角成ということになるのだろうか。このあたりまでは渡辺の指し手の方向がよくわからないので振り飛車が結構いいと思って見ていた。鈴木の指し手にはムダがないが、渡辺の方は8七のと金がムダを象徴している。駒割でも徐々に差が開いているのがわかる。

鈴木さんは勝てる将棋を落としたなというのが感想です。振り飛車党としてもっと勝って欲しいのですけどね。
中継スタッフの方々、ありがとうございました。