初級者次の一手No.6大和証券杯,鈴木-渡辺

対局日:2008/08/24
棋戦 :大和証券杯最強戦
対局者:鈴木大介8段 対 渡辺明竜王
戦型 :立石流対居飛車穴熊




No.6a
63手目
居飛車側から。
攻めが一段落して、さて次はどこに手をつけようかというところ。△7九飛と両取りをかける手が見えますが、その前にちょっと味付けを。美濃囲いは堅い囲いですが、それを崩す手筋を考えてください。難問。



No.6b
68手目
今度は振り飛車側から。
桂と香の両取りをかけられました。普通はこういう時は、両取り逃げるべからずと言って放置してもっといい手を探すのが良いのですが、ここではそうではないのです。



No.6c
88手目
攻めようとしたら△4二歩と打ってがっちり受けられました。相手の囲いは穴熊で堅い。だけどこちらの玉は形が乱れています。こういうときは相手も守りを固めたので一旦守りを固めるのが呼吸。
この形ではこんな風に守りを固めるという手があります。



正解は以下。








No.6a
△4八歩と打って、どうしますか?と打診してみるのが手筋。どうせ歩なので取られても惜しくはないんですね。こういう歩は取っても逃げても美濃囲いの形が崩れるので少ない投資で大きな効果が得られるんです。すぐに利益がある手ではないのですが、あとからじわじわ効いてきます。
実践はこの後、△4八歩▲同金△6三歩△同銀と進み、もはや何の囲いだったかわからなくしてから△7九飛と打ち込みました。
「持ち駒の歩で囲いの形を乱す」



No.6b
▲6五桂
桂馬は足が速いのが特徴で、△6五桂と跳ね出して、次に△5三桂成となれば取られそうだった桂馬があっという間に重要な攻め駒になります。香車を犠牲にして取らせている間に攻めたんだと思ってください。
こういう手を振り飛車では桂馬を捌いたと言って、重要視します。桂馬がぽんぽんと跳ねていくのが気持ちいいと思うようになれば、一人前の振り飛車党です。
「手に乗って捌く」



No.6c
▲6九歩
一段目に打つ歩を底歩と呼びます。
がつんと堅くなるわけではないですが、急作りの柵ができたので流れ弾ぐらいは楽に防げます。単に守っているだけではなく竜取りなので一旦逃げないといけません。
こんな感じでちょっとずつ守りを固めながら攻められるようになれば有段者ですね。
「底歩に力あり」