第21期竜王戦第3局・渡辺竜王-羽生名人-3


先手
渡辺竜王
対局者後手
羽生名人

手番
角銀
+2
駒割と飛歩
-2
5攻撃陣6
3守備陣3
10合計7
一手損角換わり
中盤戦42手目

もう少し含みの多い局面になるかと思っていたら、一直線の攻め合いになった。
これはつまり、羽生と渡辺の形勢判断がかみ合っていないということだ。お互いに自分の方がいいと思っているのだから、我が道を行けば勝てると思っているのだろう。
だが、一つ気になるのは、結局強い戦いに踏み込んだのは羽生の方だった、ということだ。渡辺が守りを気にせず踏み込んでこないかと期待して見ていたのだが。ここまでを振り返ってみると▲7九玉は渡辺らしい守りを重視した手であり、▲3七歩成は羽生らしい奔放な手ということになる。こうした互いの意地と意地のぶつかり合いは、面白い。


一日目でこんなに進むとは。2日目でもおかしくはない局面だ。ここから局面が複雑になっていくのだろうか。


こうして見ると▲7九玉の逃げ場を▲8八銀がふさいでいて▲7九玉と引いた手がそれほど活きていない。後手の居玉は案外深く遠い形になっている。
玉の守りで優位に立っているときは、攻め駒を捌いて、つまり交換して持ち駒にすれば自動的に良くなってくる。将棋の基本的な戦略だ。多少駒を損していても玉の守りが良ければ充分におつりがくる。これはそういう局面だと思う。
羽生良し、と私は見ます。