近代将棋史のサイト

先頃休刊となってしまった近代将棋誌の歴史を振り返り、福耳きたろうさんが所有する過去の近代将棋誌の目次をまとめるのだそうだ。休刊されてもなお、その遺風を愛する方がいるとはなんと幸せなことなのだろうか。
子供の頃のごく短い期間、購読していたことがあり、講座や詰め将棋など隅から隅まで穴が空くほど何度も何度も読んだことを覚えている。あの頃は近代将棋がなくなるなどと思ったこともなかった。近年のように初級者向けに転向するより前であり、版型も内容も将棋世界とそう違わなかったと思う。比較して決めたはずなのだが、なぜかは思い出せない。たまたま講座が振り飛車だったからだったような気はする。
講座は繰り返し繰り返し並べ覚えた。意味もわからず覚えた。覚えた手順から離れればどう指せばいいかまったくわからなかった。それでも覚えた。隅から隅まで覚えた。講座はすべて切り離してスクラップした。今でもそれを手元に置いている。
弱すぎて塚田賞など解けるはずもなく、その意味もわからなかった。ただ淡々と並べて駒を動かしただけだった。淡々と。すごいのかすごくないのかさえわからなかった。
あの頃、そばには近代将棋があった。
けれど今はもうない。その時代を知る人も少なくなっていくのだろう。それでもこうして遺風を刻む方がいることを覚えておきたい。