LPSA公認プロ制度

日本女子プロ将棋協会(LPSA)が新人女流棋士の育成をする制度を示した。
PSAの公認棋戦でツアー女子プロとして一定の成績を収めれば、女流棋士へ昇格するということのようだ。

進学や就職、副業可能、結婚、妊娠などの女性特有の環境に沿ったプロ資格制度でもあり、また組織として技術的・精神的・社会的な研修の場を設けることで将来の女流棋界を担う女流プロ棋士養成制度でもある。

このツアー女子プロという制度は、単純に新人女流棋士を育成するだけではなく、現在の女流棋士棋士としての負担を減らして他の仕事をすることも視野に入れており、現行の育成制度と一面的に比較することはあまり意味がなさそうだ。女流棋士の在り方を大胆に広げる革新的な制度である。

もう一方の団体である、女流棋士会では、現在は女流育成会というリーグ戦があり、それを勝ち抜いた者が女流棋士になれた。次年度よりそれが廃止され女流棋士を目指す者は男女混合の研修会に編入され、優秀な成績を修めたものが女流棋士になれることになるようだ。昇格条件など詳細はまだ発表されていない。


この新制度を細かく見ていけば書くことはたくさんあるのだが、2点書いておきたい。

女流棋士への昇格は対局成績により、その条件が明示してあるのはよい。「現公式棋戦主催社等への推薦する可能性」というのはどういうことなのだろうか。女流棋士を認定するのはLPSAではない、つまり、会の構成員を認定するなどという重大事における実際の権力は「現公式棋戦主催社等」が握っていると明示したと受け取って良いのだろうか。

「ツアー女子プロはLPSA準会員として……(中略)……総会出席権・役員選挙投票権などの権利は無いものとし」というのはどういうことなのだろうか。LPSAから独立した理由の一つに日本将棋連盟にいた時は女流棋士に総会の出席権さえ与えられなかった、という要因を掲げていたように記憶しているのだが。歴史は繰り返す、と言うが、いやはや。LPSAとツアー女子プロ(LPSA準会員)の関係は、過去における日本将棋連盟女流棋士会との関係を重ねながら見る必要がありそうだ。不幸の再生産にならねばよいのだが。